おばけたまにっき

たまに更新されるDJ Obakeのブログ。

くも

たぶん一週間ほど前からかな、部屋にクモが住み着いた。
これがまた随分と大きなイエグモで、動きも素早いので、現れるとびっくりする。あっちへ行けと言って脅かすが、さっさと逃げてくれれば良いものを、このクモはちっとも人間が怖くないのかグズグズしている。むしろ、こちらが気を抜いているところへ好んで近寄ってくる。この間などお客さんが来ているときに現れて、その人の証言によると目の前でぴょんぴょんと三回跳ねたそうだ。

そんな具合に、人懐こいばかりかひょうきんでもあるらしい。
クモはクモらしく部屋のどこかにひっそりと身を忍ばせていて欲しいものだ。それならばお互いに問題なく共存できるというものだ。昼の間は、夏場で暑いから寝ているのか、姿を見せない。夜頃になるとひょっこり現れ、大きな体でささっと動くので、分かっていてもやはりびっくりする。

そもそもある日突然いましたから、この部屋で育ったクモでないことは確かに思われる。私は他の虫はすぐ退治しますが、クモは家の中で見かけても殺さず放っておくので、きっとクモのあいだで噂が立ち、それを聞きつけてやってきたのに違いなかった。

私はこのクモを、とりあえず「くもまえる」と呼ぶことにした。「参られた蜘蛛」という程の意味である。

ところが二日ほど前から、その姿が見えない。遂にどこか他所へ行ったのだと思った。
だいたいこの部屋は三階にあるから、羽根の生えた虫も滅多にやって来ないのであって、昆虫などを主食とするクモ類にとって良い住処と言えたものか、もとより疑問だった。だから、お腹を空かせて他へ行ってしまうのも当然である。

しかし居なくなってみると、なぜか寂しい気持ちもしてくる。居る間は、とにかく急に出てきてびっくりするものですから、しっしと言って邪険にしていた。それなのに今度は「おや。くもまえる、いないのかな?」なんて声に出して呼んでみたりするのだから、人間というのも勝手です。

それで、時折ついつい物陰に目を凝らしてみたりしてみたのだけど、やはり居ない。クモにはクモの暮らしがあるでしょうから、せめて鳥などに見つかって食べられないよう、また余所の家の人に退治されないよう、どこかで達者にやっていれば宜しい。
と気を取り直し、せめてこの日記にでも、彼(彼女?)の事を書いておこうと思った次第なのであった。

ところがその矢先に、先ほどまた部屋の隅からひょいと姿を見せたので、やはりびっくりしました。

さて、いつまでここに居るつもりなのだか。